何も語られない 何も進まない でも何か好きになる不思議な物語
2021年の春ドラマも終わりましたね
話題作目白押しでもっと色々見たかったのですが、時間的にも見れたのはこの1本
「大豆田とわ子と三人の元夫」
松たか子主演、坂本裕二脚本というドラマ好きならピンとくるラインナップ
一時期話題となった「カルテット」と同じであり、キャストも松田龍平さんなど一緒のところもあります。
最終回まで見終わった今、全体的な感想を書いていきたいと思います。
簡単なあらすじ ネタバレ有りだが別に問題ない?
しろくまハウジングの社長を務める大豆田とわ子には離婚歴が3回ある
- 1人目は現在友人の飲食店を手伝うギャルソン
- 2人目はファッションカメラマン
- 3人目はしろくまハウジングの顧問弁護士
3人それぞれがまだ大豆田にまだ未練がある様子であり、何かと連絡してきてはコンタクトを取ってきたり、他の元夫と仲良くしているのに嫉妬したりする。
しかしそんな3人の元夫達にも新しい女性の影が見えるのであった
大豆田にも新しい恋の予感はありつつも、三回の離婚歴を傷と捉えられたり価値観の違いに悩まされる
それでもまだ幸せは諦めないのか?!
恋に破れた女性達は強い そして美しい 男達は・・・
全体として1章と2章に分かれております。
全10話のうち6話までのどちらかというと3人の元夫たちにフォーカスしたのが1章
7話から10話までの大豆田の新しい恋に密着したのが2章という流れになっております。
個人的に1番好きな回は5話から6話にかけての「地獄の餃子パーティー」
3人の元夫とそれぞれに好意を寄せた?であろう3人の女性達が一堂に集い、
さらに元嫁の父親までもが参加して元嫁宅にて餃子パーティをするというあり得なさすぎる展開が続きます。
その間主役の松たか子は一才出演なし!
女性陣からの辛辣な意見は、餃子を作る男達の手を乱すほど
そして踏ん切りのつかない男達のせいで女性達は傷つき、でもそれを皮切りに新しいスタートを切ることになるのです。
幸せに結ばれるだけが恋愛ドラマではない
大人のリアルな恋愛劇を見させていただきました。
残念だったのはその後の第2章では3人の女性達が全く出てこなくなったこと。
それぞれの恋が終わりを迎えたとともにドラマからもフェードアウトしてしまいました。
2章はオダギリジョーも参加して4人目の夫候補として、会社を乗っ取る敵として活躍します。
しかしまぁそこは主役がモテるなぁというだけであまり展開もなく、
最終回まで淡々と終わってしまった感がありました。
何も語られない 結局何で3人は離婚したの?
このドラマの特徴として肝心なことは何も語られません。
- 3人が離婚した理由
- 友人が死んだ原因 元々病気?自殺?
- 新しい恋人と一緒にならなかった理由
などなど、予想としては1章の最初で3人の元夫と恋に落ちた瞬間については描かれていたので、後半にかけて離婚した理由について書かれるのかなと思いました。
しかしそこに関しては全く触れなかったですね。
何となくはわかるのですが、具体的に書かれることはなかったです。
3人の今の性格や大豆田とわ子が嫌がっているセリフなどから読み取るしかないのです。
他に好きな人がいるのがわかった、姑との問題、そもそもの性格などなど
ただこの物語にはそんな理由はどうだって良いわけですね
そこに3回離婚した事実と3人の元夫がなぜか仲良くしている事実があればそれだけで舞台は揃っているわけです。
普通にはなれない 大豆田とわ子の数奇な人生
今回の設定で面白いのが3人の元夫の苗字が、田中・佐藤・中村と一般的である点
それに比べて大豆田という非凡な苗字を持って生まれてきた主人公
結婚という一般的な幸せを手に入れたいとわ子は3度も平凡な苗字を手に入れるも全て元に戻してしまったのだ。
恐らく彼女は普通になることができない人なのかもしれない
普通になりたい、一般的な幸せを掴みたいと思ってはいても
心のどこかでは非凡な今を楽しんでいるところがあるのかもしれない。
ある意味結婚しなくても幸せに生きていける令和の時代に
幸せを掴もうとする女性を描くことで
結局は結婚という形に囚われなくても幸せになれる人生を描いているとも言えます。
演出もこだわっていて、オープニングで今後起きる展開を紹介したり
タイトルコールをドラマ中に入れたり
古さと新しさを混在した令和ならではのドラマになっておりました。
結果的にはこうやって感想を書きたくなったくらいすごく楽しめたドラマになりました。