【読書レビュー・感想】残り全部バケーション/著:伊坂幸太郎

ズルい!ズルすぎる!伊坂ワールド全開の余韻を残す物語


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早く人生残り全部バケーションなんて言いたいくらいですが、
仕事ばかりの毎日ですね。
 
しばらく伊坂幸太郎さんから離れていた私も、久々に読んで
やっぱり伊坂さんの作品はいいなぁ・・・
なんて思った作品でした。
 
でも読み終わった後の感想としては「ズルい」
これに尽きますね
 
読み終わった方にはわかるかと思いますが、各章の終わり方がとにかく余韻を残す
 
こんなこと小説じゃないと許されませんよと言いたくなるほど
 
映画やアニメでこんな表現されたら
納得しないと炎上してしまいそうな
 
そんな作品になっております「残り全部バケーション」です。
 

簡単なあらすじ

離婚直前の早坂家

そこの父親に友達になって欲しいという怪しげなメールが届きます。

送った相手は悪どい仕事をしていた岡田

彼は仕事から手を引きたくて上司に相談したところ、出された条件が知らない相手と友達になることだったのだ。

何故か乗り気な早坂家の母親は、その誘いにのり家族3人と岡田でドライブに出かけることになる。

しかし岡田は付けられていた車に乗せられて途中で消えてしまいます

岡田は悪どいことをしながらも、優しい心の持ち主でした。

岡田にこの仕事から手を引かせた上司も岡田を可愛がっておりましたが、一方で親玉には岡田を悪く伝えていたために、もう生きていることはないだろうと思っていました。

岡田がいなくなってから新しいパートナーと仕事をしながらも、ある事故をきっかけに一つの決意をするのであった

※ネタバレ含む感想

タイトルにもなっている1章の「残り全部バケーション」
ここの終わりの中途半端さにまずびっくりしますよね。
 
岡田が行ってしまい、それで特に何もなく終わってしまう。
この家族が元に戻るとか、岡田とお父さんは本当の友達になれたのかなどわからないまま次の話に変わっていきます。
 
ただこの結末が最後の最後に活きてくるのが伊坂さんワールドなわけです。
 
一見関係ないような話が徐々に繋がっていくあたりは流石の一言ですね。
 
ただ最後の岡田が生きているのいないのか
 
これは本当に良くも悪くも捉えられるラストとなっております。
 
ハッピーエンドにもバッドエンドにもなる可能性を秘めたところで物語は終了です。
 
これ映画だったら帰り際に文句を言う人の声が聞こえてきそうですね。
 
良いエピソードとしては
 
  • 食べ歩きに興味を持った岡田が自由の身になった後に、実践してブログを書いている。
  • さらには横には早坂家で出会った娘のサキもいるのかもしれない

悪いエピソードとしては親玉目線で

  • 口から出まかせの嘘っぱちで岡田はとうの昔の始末している
  • さらには自分が助かる為の時間稼ぎをしている

そのどちらも示されることなく物語は終わります。

どう捉えるかは読み終わった読者に委ねられてしまったのです。

そして復讐は成し遂げたのか、岡田の無事を信じてやめたのか

それもわからず、私自身もまだあの状態で悩んでいるまま終わってしまっているのです。

ズルすぎるよ伊坂さん!

こんな小説しか出来ない余韻の残し方はズルすぎる!

でもこれはいくら考察してもわからないですね。

自分の信じたエピソードを信じ続けるしかない

一つの希望が見えたならそれを信じてもいいじゃないか。

もし復讐を成し遂げてしまったとしても私はそれを責めないよ

でももし希望を信じたなら最後まで信じ抜いて欲しい。

読み終わって少し経ちましたが、今ならそう言えます。

ちなみに以前に出しているオススメ100冊にはノミネートされなかった作品です。

何せ伊坂さんの作品はそもそものノミネート数も多いので厳選さしてもらいました。

でも普通にポイント付したらランクインするような作品だと思います。

ぜひここまで読んでくれた方はオススメ100冊もみてください

 

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