【読書レビュー 感想】 犬がいた季節

本屋大賞堂々の3位! 切なさ満点 平成を駆け抜けよう

最近1番信用あると言われる本屋さんが選ぶ文学賞

2021年の本屋大賞で見事2位に選ばれた作品です。

個人的にも第一回から参考にさせていただいているのでランクインされた作品はなるべく読みたいと思うほどです。

最近は少し女性作家が多いかなという印象も受けますが、それだけ女性作家の方が売れている方も多いですね。

今回も読み終えたばかりの勢いそのままで感想を書きたいと思います。

簡単なあらすじ


学校に迷い込んだ1匹の子犬

美術部を中心としたメンバーに里親探しが始まるもなかなか貰い手が見つからない。

次第に学校で飼うことは出来ないかと動き出すメンバー

女子生徒の優花と美大を目指す犬の名前の元になった少年光司郎

『コーシローを世話する会』になった二人の関係は近づいていくが

二人に残されている時間は高校生活が終わるまでの僅かな時間だった。

校長から犬を飼うことを認められたメンバー

だが次第に現実的な進路を前に決断を迫られる

その後も犬は学校に居続けることになる

犬も気付き出すのだ。

桜が3回咲いたらこの場所からいなくなりもう会えなくなる人がいることを

この僅かな時間で共通の趣味を持ったり、人生の進路を決めたり、家族の事情がありながら自分の希望を見出したり

そして長い年月をかけての再会

絵を描くことで犬がいた季節は永遠に残り続ける

個人的な感想 評価

個人的にも会社の異動などがあり別れが多くなった時期ということもあり

どの話も切なくなってしまった。

6話からなる連作短編集だが、高校3年生の最後を平成の歴史とともに描かれている。

流行っている曲や映画など実際に出てきたり、震災などの事件や事故も描かれている。

三重を舞台にしているのも珍しく、進学校という設定なので名古屋に塾通いしているなど

所々リアリティが溢れている作品でした。

全体的に大きな展開があったりどんでん返しがあるわけではないが

どの話も関係が近づいたと思ったら離れたり、すれ違っていく様が切なくなる作品です。

一番盛り上がった後にその後は特に何も起きず卒業を迎えたという展開が多く、

それこそ高校生のリアルだなと思ったりしました。

たまにドラマみたいに仲良くなったりなんてこともありますが、基本的には受験や進路のことでいっぱいであり、気付いたら卒業を迎えている。高校生活ってまさにそうなのかなと思ったり。

犬のコーシローが徐々に賢くなっているのも面白いです。

人の会話がわかってきたり、匂いで人が恋していることが分かったり、

そしてそろそろ別れが来ることも分かったり

最後の展開辺りはベタなところもありますが、落ち着いた作品ですし平成らしさで言えば

こういったオチになるのが良いのかなとも思います。

著者の伊吹有喜さんはこちらも初めてでした。

他の作品もオススメにでてきているのまた読みたいなと思います。

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