【読書レビュー・感想】悪いものが、来ませんように 

騙されたいですか?騙されたくないですか?

とにかく騙されたい!

あっと驚かされたい

せっかく時間をかけて小説を読むのであればハラハラドキドキして最後まで走りたい

そんな希望を叶えてくれる作者がこちら

悪いものが、来ませんように 著:芦沢 央

見事に騙してくれました

騙されるとわかってて騙されるのだから大したものです。

以前に書いているおすすめ小説ランキング100以内にも入りましたこちらの作品を紹介します。

ここからは完全にネタバレありです。

簡単なあらすじ

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不妊と夫の浮気に悩む紗英

そんな彼女と小さい頃から一緒にい奈津子はヒステリックな母親や育児に協力的でない夫との関係に悩んでいた。

二人の依存性は強く、紗英は奈津子の事をバカにされたという理由で彼氏と別れた過去があるほど。

奈津子もまた紗英に依存して生きてきたのだ。

ある日、奈津子が紗英の様子を部屋に見に行く

そこで夫と愛し合う二人の様子を見つけてしまう。

その後、仕事に出かけた紗英の後に夫が死ぬのを見てしまうのであった

二人は事件にどう関わっているのか。

ネタバレ有り感想

様々な違和感を残しながら物語が進んでいきます。

騙されまいと構えながら読んでいたのに見事に騙されてしまいました

違和感に思ったのはこちら

  • 奈津子は親友だからって紗英の部屋に勝手に入りすぎじゃない?
  • 紗英と妹と奈津子のファミレスでの一幕 いや、紗英と奈津子と二人でドリンクバー行ったら妹と見知らぬ子供が二人きりになるじゃん。
  • 妹のインタビュー 奈津子にすごい思い入れがある。そこの関係性特に書かれておりませんけど?
  • 奈津子と仲が良いことを気持ち悪いという彼氏 そんなこと言います?
  • 最後には勝手に家に上がって魚を焼く奈津子 それを素直に食べる紗英

とまぁ単純に気にしすぎかなと思いながらも、奈津子が変な人かなと勝手に思っていたら

まさかの親子というトリックだったわけです。

今まで思い描いていた、奈津子のキャラクターが一気に老けていくのです。

女優で言うと水川あさみさんかなと思っていたのが、野際陽子さんになったくらいの衝撃です。

そうなるとさっきまでの違和感も

  • 近くに住んでる親子だからまぁ部屋に来てもおかしくはない
  • そもそも子供は妹の子供を母親が預かっているだけだった
  • 妹も母親のことが好き
  • 母親べったりの彼女は少し気持ち悪いか
  • 母親がご飯作ってくれたならまぁ普通に食べるよな

と、普通のシーンになるのです。

そして何よりも1番の違和感あったのが、これほどまでの親友(と思っていた)同士なのに二人の意見が食い違うところです。

「子供を産むことは、本当に素晴らしいことなんだよ」

奈津子のセリフですが、不妊に悩んでいる紗英にわざわざいうセリフでもないだろうと思っておりました。しかも奈津子も子育てで悩んでいるのにそんなこと思うか・・・

しかし奈津子からしたらそうですよね、紗英自身が子供なわけであってこれほどまでに依存し合える関係になっているのですから。

子供を産むことは素晴らしいと思うのは当然のことでした。

妹の手記も2回目読むと泣けてきます。

まとめ

最後にキャラクターが一変するどんでん返しものでした。

こういう系は騙されてなんぼなのでちゃんと引っかかれて嬉しいものですね。

しかしこれだけ構えてても騙されるのだから見事なものです。

事件としてはシンプルというかそこまでの展開もありませんが、先は気になって読むスピードは早くなりました。

目の前で人が死ぬ描写があるのに自分が殺したのか、誰かに殺されたのかわからないと言うのは斬新な設定でしたね。

女性の不妊や育児放棄など、人間の内面が多く書かれた作品でもあるかなと思います。

特に母親と娘、奈津子目線ではどちらも存在しているのでその対比も考えさせられますね。

芦沢央さんの作品は他の作品も気なる作品ばかりです。

個人的には初の作品でしたので他の作品も手に取ってみたいと思います。

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