【読書感想・レビュー】夜市 著:恒川光太郎 

さぁ、あなたも夜の市が開催される不思議な恒川ワールドへ

読書歴20年くらいですけども、ここにきてまたもや大好きな作家さんと出会ってしまったかも知れません。

恒川光太郎さん。

ホラー作家と評されることも多いですが、これは個人的にも大好きな異世界と文学が入り乱れた

そして切なさを纏った物語という大好物な作品でした。

何故今まで出会っていなかったのでしょう。

今回の「夜市」が刊行されたのが2005年

青春を読書に費やしていた時代だったのに気づくことなくでした。

「夜市」は直木賞候補にもなったとのことなので、その時に出会っていたら間違いなく好きな作家としてずっといたことでしょう。

(ちなみにその時の受賞は東野圭吾さんの容疑者X・・・)

だが時を超えて15年ほどたった今また感動できるのですから読書は素晴らしいですね。

まだまだ通り過ぎてしまった名作があることでしょう。

楽しみに読書ライフを続けていきます

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簡単なあらすじ

夜市

高校時代の同級生に誘われて夜市に出かけることになった女子大学生

夜の街に突然現れるという信じられない話であったが、本当にその夜市は開かれていた。

キミの悪い売り物や店主に早く帰りたくなるも、出口が見つからない2人

この夜市で何かを買わなければ出ることができないという。

実は同級生の男は昔その夜市に来たことがあるという。

その時は「野球の才能」を手にして帰ったとのこと。

そして代金として払われたのは実の弟だった。

風の古道

子供の頃道に迷った時に奇妙は舗装されていない道路を通って帰ったことがある

12歳になり親友にその話をしたらもう一度行こうということになった。

だがその道は確かに存在しながらも現在の人々と出会うことのない、神々が通るような「古道」であることを知る

そして出口は年々塞がれていた。

その道で出会った放浪者レンに色々教えてもらうも、ある男に因縁を持たれて暴力事件になってしまう。

それに巻き込まれた親友が重傷を負い死んだも同然となってしまう。

レンは昔誰からか聞いた「蘇生」が可能な場所があることを思い出し、2人はそこを目指す旅を続けることとなる。

個人的な感想 ※ネタバレ注意

まずは「夜市」

これまた誰もが思い付きそうな設定ではありますが、これまでもかと壮大に描かれております。

実の弟を犠牲にして野球の才能を手に入れた兄

しかも弟は実在しないことになっていた。

そして才能がリアルなところも良いですね。

高校野球まではある程度活躍もプロになれる程ではない。

弟を犠牲にしてまで欲しかったものはこれなのか。

そして長年の思い、夜市で弟を取り返す。

場面は弟にも切り替わり、夜市で生きてきた人生が描かれる

そして兄への気持ちもリアルで良かったですね。

切ないラストも大好物です。

また個人的には「風の古道」こちらも良かったですね。

謎の道に踏み込んで出れなくなるというこれまた良く考えてしまう妄想ですが

ここまで作品として仕上げるのはさすがですね。

そしてその道は犯罪者にとって利用されてしまう。

この辺りもたまらないですね。

幻想的な世界とリアルは犯罪とが混ざりあう。

若干出来過ぎなストーリーもありますが、

繋がっていく物語は良い映画を見たような感覚になります。

なぜ映画化されていないのか不思議な作品です。

読み終わってすぐ次の恒川作品へ

あまりの衝撃にすぐに次の作品を選んでしまいました。

「秋の牢獄」こちらもまた楽しそうな物語が並んでおります。

一気にファンになってしまった恒川さん。

読書が終わることはなさそうです。

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