【読書レビュー・感想】夜が明ける/著:西加奈子

貧困・虐待・過重労働 辛い現実をこれでもかと書き綴る1冊

もはや名前だけで買ってしまう作家となりました西加奈子さん

新作を本屋で見つけたのでもちろん手に取ることになりました。

前作の「i」からもう5年が経っているのですね。

時代はどんどん進んでおります。

そんな中でも変わらず存在している貧困・虐待など様々な問題

当事者ではないけどと思いながら書いたというこちらの作品

何かを救うことが出来る1冊になったのではないでしょうか。

エンタメ寄りの作品ではないですが、重めの文学作品を読みたい方はぜひ

簡単なあらすじ

高校で出会ったのは身長191センチの吃音のアキだった。

ネグレクトや貧困など様々な問題を抱えるアキだったが

彼をとある俳優に似ているといったことからアキの人生は転期を迎える

アキは俳優になろうと劇団員に、「俺」は憧れの映像制作会社へ入る

しかしそこに待ち受けていたのは過酷な労働環境と理不尽な社会の仕組みだった。

生きることはこんなに苦しいものなのか

2人の33歳までの生活が綴られる。

個人的な感想

今年は湊かなえさんの「未来」といい、どこまでも暗い作品が続いているような気がしてます。

こちらの「夜が明ける」も苦しい叫びがたっぷり詰まった作品となっておりました。

正直なところそこまでの貧困であったり、体調を崩すほどの労働環境に置かれることもなく

なんとか生きていけている状況ではそこまで感じることが出来ない落ちるところまで落ちる生活

もう少しその前で踏ん張ることが出来ただろうと思ってしまうところはありますが、

今回は落ちるところまで落ちてしまう物語となってしまいました。

でもこれが現実であり、誰かしらがこの状況に陥っている方がいるんですよね。

特に映像制作会社へ勤めた現実は痛いほどわかります。

やりたいことと仕事が違い、そのやりたいことすら馬鹿にされる日々

そして本業でも中々評価されず、嫌な先輩がどんどん成功していったり

ネガティブなことが広がっていき、そして悪い方へどんどん進んでしまう。

普通の家庭に産まれながらどんどん陥っていく「俺」

貧困な生活から中々抜け出せずとも希望を見出していく「アキ」

2人は会えない日々の中でもどこか友情で繋がっているのであった。

微かな希望 全てを救いきらないラスト

ラストも全てが救われるわけではなかったですね。

でもそれがリアルでもあります。

最後全てが解決したり、良い人と出会って結婚したり

物語としてはそれで良かったとはなりますが、そうがならないのが現実。

夜はきっと明ける

今はまだ光は見えなくとも

「サラバ」や「i」にあった爽快感とは違うテイストなので

期待していたものと違うところありましたが、

また違った世界観を見せていただきました。

西加奈子さんの新作はまた買ってしまうのだろうなと思います。

 

 

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