【読書レビュー 感想】 透明人間は密室に潜む

このミステリーがすごい!第2位 特殊設定の連作中編

私が信用しているランキング「このミステリーがすごい!」2021年で第2位を獲得しました。

前回紹介した「楽園とは探偵の不在なり」も6位に入っており、特殊設定ミステリーが多くの評価を得た年になったと思います。

こちらは表題作を含む4編の作品から

作者曰く短編集ではなく中編集とのこと。

それぞれに読み応えがあり、一つの作品で終わってしまうのはもったいないくらいの世界観を作っております。

以下、若干のネタバレ含みます。

表題作 透明人間は密室に潜む  あらすじと感想

透明人間になる病気が存在する世界

特殊メイクによって透明人間も普通に過ごすことが出来るようになっていた。

そんな中透明人間を完全に治すことが出来る薬が出来たと発表される

その記事を見て1人の透明人間の主婦が発表した教授を殺しに行く計画を立てる

犯行当日、何とか殺害にはまでは至るもその場で探偵に現場を塞がれてしまう。

この中に透明人間がいます!

探偵は見つけられるのか、透明人間は逃げ切れるのか!

感想

あまりに色んな設定が出てきてミステリーどころじゃない気もしましたが

シンプルには密室での透明人間探しです。

その為にここまで設定を作るかと驚くばかりです。

事件としては面白かったですが動機や透明人間専門のメイクアップなどは

少し無理があるような気がしてしまいました。

夫は流石に気づけよと・・・

トリックとしてはシンプルかつ大胆なもので楽しめましたね

六人の熱狂する日本人

あるアイドルが殺された事件の裁判官制度を舞台にした物語

実はそのアイドルのファンであった人物が選べれており、貴重な情報を出してくる

次第に明るみになるオタク達

みな程度はあれ殺されたアイドルに思い入れがあったのだ。

そしてたどり着く真相

オタク達が下した結論は

感想

これは文句なしに面白かったですね。

ミステリーコメディというべきか

映画「キサラギ」を思い出しましたが、巻末に参考資料で乗っておりました。

こちらも死んだアイドルのファンが集まり、事件の真相に辿り着く物語でした。

裁判官制度をうまく使い、またオタクの中にも色んなタイプがいることを明示する

熱狂的な人も静かに見守る人も、テレビでこっそり応援する人も皆それぞれの立場があると

アイドル時代の今だからこそ起こり得る裁判かもしれません

盗聴された殺人

耳が極端に良い助手と探偵の物語

このコンビの最初の事件が描かれております。

録音された殺害現場の音を頼りに小さな音から真相を暴きます。

感想

シリーズ化されても良いのではと思うほどの名コンビでした。

今後また出てくるのではと思います。

犯人は少しわかりやすい気もしましたが、

無理もない良いトリックだったと思います。

第13号船室からの脱出

脱出ゲームが好きな少年

ある船に乗ってのイベントに参加したところ金持ちの同級生に遭遇。

そんなイベントの最中、金持ちの少年と間違えられて主人公が拉致監禁されてしまう。

またそもそも思惑があった金持ち少年は計画が叶わず、乗り気ではない脱出ゲームをクリアしなくてはいけなくなる

本当に脱出しなければならない少年と、自分の計画の為に脱出ゲームに参加することになった少年

2人の思惑がどうなってしまうのか

感想

こちらは文句なしで面白かったです!

脱出ゲームと推理小説のコラボ。しかも推理小説の中で実現しました。

物語としても見事ですし、これだけで映画化とかされても良いのではと思うほどです。

実際に捕まって脱出する少年も良いですが、計画の為に必死でゲームをクリアしようとする少年もまた可愛らしく思えました。

そもそものミステリーを書かなくてはならないのに、さらに一つの脱出ゲームまで作らなくてはならない

作者の労力に脱帽しました。しかもこれが中編のひとつ

お見事です。

全体的な感想

全体的に中編にしてしまうのは惜しいくらいの設定とボリューム

文章も読みやすいです。

作者の阿津川辰海さんはまだ20代とのこと。

「キサラギ」に影響受けて今回の作品が出来ているという

同世代とも言える肌感を受けました。

これからもチェックしていきたいですし

このミステリーが凄いの常連になっていただきたいです。

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